2011年6月11日土曜日

滅尽定(想受滅)[禅定(4)]

無色界の禅定(非想非非想処)の先に、滅尽定(滅想定、滅受想定、想受滅とも呼ばれる)がある。これは、瞑想とも禅定とも呼べるかどうかもわからない状態である。すべての想いが滅した状態である。
これは色界や無色界での禅定ではない状態で、心の働きが一切尽きてなくなり、全く平穏静寂な、心のあらゆる動きが全く止滅した状態とされている。
想受滅では、心の状態が全く止滅し、身体のはたらきもその間ほとんど止まる。飲食や排泄は、もちろん、呼吸もほぼなくなり、心臓の鼓動も微細になり、肉体の活動全体がほぼ完全に休止状態となる。これを外部から見ると、瞑想の体勢で座っていても、まるで生きているのか、死んでいるのか、分らないような状態となってしまうのである。


滅尽定の中では、心のあらゆる動きが全く止滅している(ある意味、意識がない)ので、当然ながら滅尽定から醒めることを意識することもできない。滅尽定の間は、心のはたらきは何もなく、瞑想の最中に出定しようかなどと考えることもできないのである。
ではどうやって滅尽定から戻ることができるのかということだが、あらかじめ、いつ滅尽定から醒めるかを決めておくのである。決められた期間後に、滅尽定から醒めるのである。そうでないと禅定から醒めなくなってしまう。
滅尽定の状態のままで居続けられる期間は、最長七日間という。

滅尽定は在家修行者にはまず無理な状態であり、出家修行者でも難しく、滅尽定に到達できる人はまれである。滅尽定は阿羅漢(アラカン)しか達することができないといわれる。さらに阿羅漢(アラカン)になってしまうと、普通人の生活はできなくなるという。

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