2011年6月23日木曜日

三学との関係(3)[大乗仏教(3)]

つまるところ、大乗仏教の三学「戒・定・慧」は、初期仏教の修行項目を簡略化したものである。
七科の修行を三学に対応するよう、一応当てはめてみた。
相互に関係したもの、分類しにくいものもあり、別の説も立てられるであろう。


1.戒
・四正断
・五根五力では、「精進根・精進力」。
・七覚支では、「精進覚支、喜覚支、軽安覚支」。
・八正道では、「正精進、正語、正業、正命、正思惟」


2.定
・四如意足
・五根五力では、「定根・定力」、
・七覚支では、「定覚支」
・八正道では、「正定」


3.慧
・四念処
・五根五力では、「慧根・慧力」、「念根・念力」、「信根・信力」
・七覚支では、「念覚支、択法覚支、捨覚支」
・八正道では、「正念、正見」


「戒・定・慧」と一言で言ってしまうと、少ないので分かりやすく思える反面、具体的な内容はかえって分かりにくいといえる。
三学では具体的な内容がよくわからない、というのが実情であろう。三学としてまとめると、3つだけなので覚えやすい。しかし具体的に何をしたらよいのか、分かりにくくなってもいるのである。


修行体系をまとめた全体的修行科目である、五根五力、七覚支、八正道のなかでは、五根五力が一番シンプルである。
五根五力のみに、「慧根・慧力」という智慧を表す科目がある。
五根五力は、三学との対応関係がよいともいえる。
「慧根・慧力」は「精進根・精進力」、「念根・念力」、「定根・定力」により得られた智慧を指している。
四諦、縁起の法の理解には教学だけではなく、他の修行により得られた智慧により、より深く理解できるのであり、潜在意識の中まで体得できるといえる。

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