阿含経にある修行体系の説明の前に、仏教では解脱していない通常の人間が住むこの世界をどのように見ているかについて説明しておく必要があるだろう。
仏教の世界観では、三界(欲界、色界、無色界)と呼ばれる3つの世界が、この世を構成している。
色界、無色界は、禅定の説明でも出てくる言葉である。それゆえ、この三界についての概略は知っておくべきである。
仏教では、この世界は三界(欲界、色界、無色界)から成り立っていると考えている。三界は、欲界、色界、無色界の3つ世界の総称である。解脱していない通常の人間が、生死を繰り返しながら輪廻する世界が、この3つの世界である。
1.欲界(よくかい)
欲望にとらわれたものが住む世界である。
欲界とは、欲のある世界という意味である。
通常のわれわれ人間の住む世界は、この欲界に属する。普通の意味での地上世界は、欲界に属する。
2.色界(しきかい)
欲望はほとんど超越したが、まだ物質的な形のある世界(色)であり、形にとらわれたものが住む世界である。
色界とは、欲はほとんどないが、まだ形のある世界という意味である。
色界とは、形あるものの世界のことで、「色」とは形あるものの訳語として用いている。この形あるものは、変化し、壊れ、一定の空間を占めている世界である。
現在語での誤解なきように書いておくが、色界とは、色恋沙汰や色情の世界のことではない。
3.無色界(むしきかい)
欲望も超越し、物質的な形もない世界(無色)であり、ただ精神作用のみがある世界である。
無色界とは、欲もなくなり、すでに形もない世界という意味である。
無色界とは、形なきものの世界のことで、形はないが精神作用のみが存在する世界である。
輪廻する者は、この3つの世界のどれかに住むと考えられている。たとえ、高い禅定の世界である無色界の住人であろうと、三界に住む者はまだ輪廻の渦中にあり、最終的な解脱は果たしていない。
色界、無色界も、通常、人間が五感で感じられる世界ではなく、深い禅定(瞑想)の中でのみ感じられる世界である。人間の住む欲界と比べると、色界、無色界はかなり高い禅定の世界であり、天界と呼ばれる。
ニルヴァーナへと到れば、この三界の住人ではなくなり、輪廻から解脱したことになる。
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