総合修行科目の1番目は、五根と五力である。
五根と五力は、五つの修行の基礎能力と、その修行の結果得られた五つの発揮できる力のことである。
五根は、次の五つの修行科目である。
① 信根(信の根)
② 精進根(四正断の根)
③ 念根(四念処の根)
④ 定根(四如意足の根)
⑤ 慧根(智慧の根)
五力は、次の五つの修行科目である。
① 信力(信の力)
② 精進力(四正断の力)
③ 念力(四念処の力)
④ 定力(四如意足の力)
⑤ 慧力(智慧の力)
五根と五力は、末尾に付く「根」と「力」が違うだけで、まったく同じ修行科目を指している。五根と五力は、密接に関係しており、修行科目としての内容はほとんど同じである。そのため、ここでは一体の修行体系として扱う。
五根と五力には、四正断、四念処、四如意足が含まれているので、五根と五力を修行すると必然的に、四正断、四念処、四如意足も修行することになる。
五根と五力は、ブッダに対する強い信(信頼)を持つことから修行を始めている。
五根と五力は、まずブッダに対する「信」による基礎能力と発揮できる力から始まる。
1.信根・信力(信による基礎能力と力)
ブッダに対する「信」、さらには三宝(仏法僧)への信による基礎能力と発揮できる力のことである。
2.精進根・精進力(四正断による基礎能力と力)
四正断(断断、律儀断、随護断、修断)のことで、実践する行動による基礎能力と発揮できる力のことである。
3.念根・念力(四念処による基礎能力と力)
四念処(身念処、受念処、心念処、法念処)のことで、観察する瞑想による基礎能力と発揮できる力のことである。
4.定根・定力(四如意足・禅定による基礎能力と力)
四如意足(欲如意足、精進如意足、心如意足、観如意足)のことで、集中する瞑想による基礎能力と発揮できる力のことである。
5.慧根・慧力(智慧による基礎能力と力)
智慧は、深まった禅定の力によって観察することにより得られた洞察力、基礎能力と発揮できる力のことである。
深まった禅定の力によって、縁起の法、四諦等を観察し、洞察して三毒(十結)を断滅することができる。五根と五力では、禅定とそれによる観察によって、智慧を得ることを目指している。
四向四果の最終段階である阿羅漢(アラカン)の段階に至るためには、精妙な煩悩(普通の意味の欲望のことではない)である五上分結を断じなければならない。このためには、深まった禅定の力と深まった観察する力によって得られた智慧の力が必要になる。この智慧の力によって、五上分結を最終的に断滅する。
五根と五力については、なぜブッダは、同じような内容の修行科目であるにもかかわらず、五根と五力に分けたのか、という問題がある。
分けた理由であるが、まず修行の基礎能力を開発する段階が五根であり、基礎能力を十分に収めて、その結果としての力を発揮できるようになった段階を五力と呼んだからではないかと思われる。五根の段階では、まだ基礎能力を養成する段階であり、力までは発揮できない。五力の段階になって、はじめて力を発揮することができる。この発揮する程度にかなり差があるので、五根と五力に分けたと思われる。
特に深い集中する瞑想である四如意足を修めると、不思議な力(神通力)を発揮できるようにもなる。ただし気をつけなければいけないのは、これが仏教の目的ではないことである。
七覚支や八正道でも、深い四如意足を修めれば力を発揮するであろうが、五力では智慧を得ることを目指すため、その力の発揮する度合いが顕著であったと思われる。
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