2011年5月23日月曜日

八正道[総合修行科目(3)]

総合修行科目の3番目は、八正道である。八正道は、八つの悟りへの正しい道である。
八正道には、四正断、四念処、四如意足が含まれているので、八正道を修行すると必然的に、四正断、四念処、四如意足も修行することになる。

八正道は、意識して正しいと思われる行動を取ることから修行を始めている。
八正道の修行は、正見(正しい見解を持つこと)から始まる。


1.正見(正しい見解)
正しい見解を持つことは、悟りへの正しい道である。
修行の最初の段階での正しい見解から、他の八正道の項目(特に正念、正定)が進むと、さらに深い正しい見解を持てるようになる。その修行段階での正しい見解というものが存在する。
正しい見解が進んでくると、三毒を断じて越えることができる。

2.正思惟(正しい考え)
正しい考えを持つことは、悟りへの正しい道である。

3.正語(正しい言葉)
正しい語を発することは、悟りへの正しい道である。
嘘偽り、人を傷つけるようなことを話さず、真実のみを愛を持って述べる。

4.正業(正しい行為)
正しい行為をなすことは、悟りへの正しい道である。

5.正命(正しい生活)
正しい生活を行うことは、悟りへの正しい道である。

6.正精進(正しい四正断)
四正断(断断、律儀断、随護断、修断)のことで、実践する行動は悟りへの正しい道である。

7.正念(正しい四念処)
四念処(身念処、受念処、心念処、法念処)のことで、観察する瞑想は悟りへの正しい道である。

8.正定(正しい四如意足・禅定)
四如意足(欲如意足、精進如意足、心如意足、観如意足)のことで、集中する瞑想は悟りへの正しい道である。


八正道では、正しい見解を持つことから始め、日常生活のすべてに対して、正しくあるように、意識的に行動する。
意識的に正しい(と思われる)ことを、日々の生活の中で行う、というのが八正道の考え方である。これはとても分りやすい考え方であり、八正道が多く説かれている理由もここにあると思われる。
ただし八正道においても意識的に正しいことを行うだけでなく、四正断、四念処、四如意足の修行にも取り組んでいくのである。

八正道では、正しい見解を持ち日常生活のすべてに対して正しくあるように意識的に行動することを目指す。ここで何が正しいか、どう考えることが正しいのか、どう行動することが正しいことなのか、ということが問題となる。正しいことは何かを考えるなら、目的である解脱ということを重視しなればならない。解脱という視点から考えると、解脱を助けるものが正しいことであり、解脱を妨げるものが正しくないことである。心を平安に保ち執着(煩悩、結)を減少させる事が正しいことであり、心を乱し執着(煩悩、結)を増大させる事が正しくないことといえる。正しい行動や考え方、正しい生活ができるようになるためには、戒を意識した生活をすることが必要になる。こういう視点(これが正しい見解となる)から、正しくあるように意識的に行動するのである。

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