2011年5月10日火曜日

阿含経(最初期の経典)[仏教の基礎知識(8)]

漢訳経典には、多くの仏教経典(経典群)が存在する。その経典群をまとめて、大蔵経とよんでいる。大蔵経とは、一つの経典のことではなく、仏教経典(経典群)すべてをまとめて指す言葉である。

大蔵経の仏教経典(経典群)のすべてが、歴史上のブッダの説いたことを伝えるものではない。大乗仏教での経典は、ずっと後世になってから、文筆家、理論家たちによって新たに創作された経典である。それらの創作された経典も、本文内で「われはこう聞いた」というような書き出しで始まっているので、今でもすべての経典を歴史上のブッダが説いたことだと誤解している人も多い。
大乗の教えは、ブッダの死後、約7百年後に龍樹(ナーガールジュナ)らによって、理論付けされたとされる。


○大乗仏教で創作された代表的な大乗仏教の経典
・般若経(一つの経典ではなく経典群である)
・華厳経
・法華経
・涅槃経(大乗仏教の涅槃経)
・浄土三部経
・密教系経典(大日経、金剛頂経等の経典群)


ここでは、最初期の仏教での基本的な修行体系は何であるのかを分析したいので、大乗仏教の経典群は基本的に考察の対象とはしない。
大蔵経の仏教経典(経典群)のすべてを読む必要はない。ブッダとなることを目指すなら、その目的に関係した経典だけを読めばよいのである。

最初期の仏教経典は、阿含経と呼ばれるもののみである。阿含経と呼ばれるものも、一つの経典(文献)ではなく、いくつもの経典を集めた経典群である。阿含経という経典群の中には、長い経典(文献)から、短い経典(文献)まで、多くの経典が含まれている。


○最初期の仏教経典
・阿含経(一つの経典ではなく経典群である)

阿含経とは、漢訳仏典中での名称であり、上座部仏教(南方仏教)には、阿含経に相当する仏典(南伝大蔵経)しか存在していない。上座部の南伝大蔵経は、すべてが漢訳の阿含経に相当した仏典のみということができる。大乗仏教の経典に相当する仏典は、上座部仏教(南方仏教)には存在しないのである。

最初期の仏典である阿含経をもとに、ブッダが説いた仏教の修行科目を考えてみたい。なぜなら、この修行科目こそが、ブッダが弟子たちを指導した内容であり、解脱(ニルヴァーナ)へと向かう道だからである。
ブッダは単に哲学的な思想体系を説いたのではない。ニルヴァーナへと向かう実践的な方法を説いたのである。そのためには、最初期の仏典である阿含経をもとに、どのような修行体系が説かれているかをみるしかないのである。

ここでは阿含経をもとに、ブッダが何を説いたのか、どのような方法で弟子たちを指導したのか、仏教で最も大切な、解脱するための方法とはどのような方法であるのか、を中心として考えてみたい。
つまり仏教の目的を達成するための方法とは何なのか、仏道とはどういうものなのか、を考察してみることにしたいと思う。

1 件のコメント:

  1. 阿含経は漢訳ですが、原書は何語ですか? マガダ語?パーリー語?
    最初の経典にパーリー語のニーカヤがあると聞きましたが、どちらが先でしょうか?

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