2011年5月14日土曜日

基本修行科目[仏教の修行体系(3)]

総合修行科目に含まれる、基本的に大切な修行科目である。
阿含経にある基本修行科目は、四正断、四念処、四如意足である。


1.四正断(四正勤)
四正断(四正勤)は、次の四つの修行科目である。

① 断断
② 律儀断
③ 随護断
④ 修断

総合修行科目のうち、「精進」と訳されたものが、四正断のことを指している。これを理解していると、総合修行科目の内容が、より正確に理解できるようになる。
五根と五力の「精進根・精進力」、七覚支の「精進覚支」、八正道の「正精進」が、このことを指す。
四正断は「仏道に精進する、努力する」というような、あいまいな抽象的な内容ではない。


2.四念処(四念住)
四念処(四念住)は、次の四つの修行科目である。

① 身念処(身念住)
② 受念処(受念住)
③ 心念処(心念住)
④ 法念処(法念住)

総合修行科目のうち、「念」と訳されたものが、四念処のことを指している。これを理解していると、総合修行科目の内容が、より正確に理解できるようになる。
五根と五力の「念根・念力」、七覚支の「念覚支」、八正道の「正念」が、このことを指す。
四念処は、色界の四つの禅定(四禅)に関係が深い。
四念処は「心に仏を一心に念ずる」というような、何のことだか意味のよく分らない内容ではない。


3.四如意足(四神足)
四如意足(四神足)は、次の四つの修行科目である。

① 欲如意足(欲神足)
② 精進如意足(精進神足)
③ 心如意足(心神足)
④ 観如意足(観神足)

総合修行科目のうち、「定」と訳されたものが、四如意足のことを指している。これを理解していると、総合修行科目の内容が、より正確に理解できるようになる。
五根と五力の「定根・定力」、七覚支の「定覚支」、八正道の「正定」が、このことを指す。
定とは、禅定のことであるが、色界の四つの禅定(四禅)、無色界の四つの禅定がある。
ただ、定はすべて四如意足のことかというとはっきりとしない点もある。色界、無色界の禅定をただ指している場合もあるかもしれない。とはいえ、ここでは定は、主に四如意足のことを指していると考えて説明しよう。
四如意足は、特に無色界の四つの禅定に関係が深い。これを達成するために四如意足が使われる。
定については、禅定のことと理解されているが、四如意足が意識されることは少ない。一般には座禅のようなものだけと思われている。

0 件のコメント:

コメントを投稿