2011年5月15日日曜日

総合修行科目[仏教の修行体系(4)]

基本的な修行科目をまとめて、網羅するようにした総合的な修行科目である。
阿含経にある総合修行科目は、五根、五力、七覚支、八正道である。
内容を仔細にみると各総合修行科目には、基本修行科目としての、四正断、四念処、四如意足が含まれている。


1.五根と五力
五根は、次の五つの修行科目である。

① 信根
② 精進根(四正断の根)
③ 念根(四念処の根)
④ 定根(四如意足の根)
⑤ 慧根

五力は、次の五つの修行科目である。

① 信力
② 精進力(四正断の力)
③ 念力(四念処の力)
④ 定力(四如意足の力)
⑤ 慧力

五根と五力は、末尾に付く「根」と「力」が違うだけで、まったく同じ修行科目を指している。五根と五力は、非常に関係性が深いので、ここでは一体の修行科目として扱う。
つまり五根と五力は、まとめると次の五つの修行科目である。

① 信根・信力
② 精進根・精進力(四正断の根と力)
③ 念根・念力(四念処の根と力)
④ 定根・定力(四如意足の根と力)
⑤ 慧根・慧力


2.七覚支
七覚支は、次の七つの修行科目である。

① 念覚支(四念処の覚支)
② 択法覚支
③ 精進覚支(四正断の覚支)
④ 喜覚支
⑤ 軽安覚支
⑥ 定覚支(四如意足の覚支)
⑦ 捨覚支


3.八正道
八正道は、次の八つの修行科目である。

① 正見
② 正思惟
③ 正語
④ 正業
⑤ 正命
⑥ 正精進(正しい四正断)
⑦ 正念(正しい四念処)
⑧ 正定(正しい四如意足)


このように、五根と五力、七覚支、八正道は、内容的にそれぞれ重複したところがあり、そのどれかを修行すればよいようになっている。ブッダは修行者の気質をみて、五根と五力、七覚支、八正道のどれかに取り組まさせたものであろう。
修行者の必要性にあわせて、四正断、四念処、四如意足については、個別に詳しく説明したものであると思われるのである。
つまりは、五根と五力、七覚支、八正道のどれかを修行すれば、七科三十七道品の大切な基本修行科目はすべて含まれているのである。

次からは、3つの基本修行科目と、3つ(五根と五力を分ければ4つ)の総合修行科目の各々について、個別に詳しくみていくことにしよう。

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